車中堅、進む選択と集中 三菱自が米生産撤退を発表

三菱自動車は27日、米イリノイ州の工場を売却し米国生産から11月末に撤退すると正式発表した。自動車業界ではトヨタ自動車など上位企業が年1千万台規模の販売を競い合うなかで中堅メーカーは生き残り策が問われている。米四輪車販売から撤退しアジアにシフトするスズキ、軽自動車生産をやめて北米に注力する富士重工業など「選択と集中」に解を求める動きが広がりつつある。


000000


 三菱自が米イリノイ州の工場で乗用車生産を始めたのが1988年。2000年には年22万台超を生産していたが14年は約7万台にとどまっていた。27日記者会見した三菱自の相川哲郎社長は「工場を維持できる規模ではない。選択と集中を進めるために工場売却を決めた」と説明した。

 三菱自の米生産撤退は10年来の懸案だった。背中を押したのは経営再建と円安だ。14年には累積損失を一掃、円安効果もあり15年3月期の連結営業利益は過去最高だった。リストラ費用を吸収できる余力ができた。

 米工場の従業員は1250人。売却先はこれから探すが「買い手がいなければ閉鎖も検討する」(相川社長)。同工場で生産する多目的スポーツ車(SUV)「アウトランダー・スポーツ」(日本名RVR)は岡崎工場(愛知県岡崎市)からの輸出に切り替える。

 自動車業界では大手と中堅の戦略の違いが鮮明になりつつある。トヨタや独フォルクスワーゲン(VW)、米ゼネラル・モーターズ(GM)などの大手は世界販売を年1千万台前後まで伸ばし、なお生産拠点の拡大競争を続ける。世界販売120万台の三菱自などは戦略の強弱を付けざるを得ない。すべての地域で展開するよりも得意分野に絞り込む戦略を急ぐ。

 一つは地域の絞り込みだ。スズキは12年に米四輪車販売から撤退した。「中小メーカーが米国市場に合わせて新車をそろえるには限界がある」(鈴木修会長)。代わりに増強するのがアジア。今春にインドネシアに2番目の新車組み立て工場を稼働させた。17年にはインドで3カ所目の工場を開設する。同社のアジア販売比率は6割を占め、さらに増える見通し。

 三菱自はすでに欧州生産から撤退した。今後はインドネシアやフィリピンの生産を伸ばす。

 車種の絞り込みに成功したのが富士重だ。12年に軽自動車生産から撤退し、同社に16.5%出資するトヨタ傘下のダイハツ工業からOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受ける。自社では収益力のあるSUVを北米中心に販売する。

 富士重の世界販売は三菱自よりも少ない年90万台超にすぎない。しかし事業構造を見直した結果、16年3月期の連結営業利益率は17%と自動車業界で最高水準となる見通し。円安効果も加わり営業利益では初の5千億円台を視野に入れる。吉永泰之社長は「北米とSUVに絞った戦略が奏功した」と強調する。

 中堅規模では、燃料電池車や自動運転車といった次世代技術開発などは自力で補えない部分も多い。大手の経営資源を効率よく活用できるかがカギとなる。中堅勢の次の一手が自動車の世界再編を動かす可能性もある。
nikkei.com


[PR]

by ganbaremmc | 2015-07-28 08:11 | 三菱自動車 | Comments(0)