トヨタ PHEVを多車種で展開、ドイツ勢に反撃


トヨタ自動車はプラグインハイブリッド車(PHEV)を
さまざまな車種で幅広く展開する。
同社は2015年中にハイブリッド車の新型「プリウス」を発売するものと見られる。
その後、2016年にもPHEVの新型「プリウス PHV」を発売する見通しだ。

トヨタは同車を皮切りに、複数の車種でPHEVを展開する。 現時点でトヨタは1車種しかPHEVを販売していない。それが2011年11月に発売したプリウス PHVだ(図1)。「充電プリウス」と銘打つものの、満充電時に電気自動車(EV)として走行可能な距離(以下、EV航続距離)は約26.4kmと短く、デザインもハイブリッド車のプリウスとほぼ同じ。価格が300万~400万円程度と高いことも響き、販売は伸び悩んでいた。

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新プラットフォームでは、アンダーボディーやサスペンションなどの部品の共用化を進め、パワートレーンは低重心化、低配置化する。FF(前部エンジン・前部駆動)系のミディアム車である新型プリウスから導入を始めて、コンパクト車や大型車、FR(前部エンジン・後部駆動)系の車種にも、それぞれ対応する新プラットフォームを順次展開。トヨタは2020年頃には全世界の販売台数ベースで5割に導入する方針だ。 新プラットフォームを使い、部品の共用化を推進する戦略は、PHEVを幅広い車種に展開することを後押しする。新型のプリウス PHV向けに開発するパワートレーンを、さまざまな車種で活用しやすくなるからだ。 トヨタのTNGAは、VW社が進める「MQB*(横置きエンジン車用モジュールマトリックス)」と呼ばれる、さまざまなクルマの基本構造と主要部品を共通化する戦略と似通っている。

それでもトヨタがPHEVに力を入れようとするのはなぜなのか。欧州や米国を中心に環境規制の強化が加速しているからだ。通勤や買い物など日々の近距離移動で、EVとして利用できるPHEVは、燃費効率が高く、環境負荷も小さいため、厳しくなる一方の規制を乗り越える力になる。こうした中、トヨタはPHEVを幅広い車種に展開する方針を固めた。 新型プリウス PHVのEV航続距離は50~60km程度になる可能性がある。現行プリウスPHV(26.4km)と比べて2倍か、それ以上の水準だ。トヨタはPHEVのEV航続距離を伸ばすことで、日常生活の多くの場面で、実質的なEVとして利用できるようにする。 EV航続距離を伸ばす背景には、ライバルの戦略もある。欧州勢ではドイツVolkswagen社(以下、VW社)が主力の小型車「Golf」のPHEVを既に投入しており、EV航続距離は50kmに達する。日本勢では三菱自動車「アウトランダー PHEV」のEV航続距離も60kmに達している。こうした競合車種に負けない水準に、EV航続距離を伸ばすことが必要とトヨタは考えているようだ。 PHEVを幅広い車種に展開するカギとなるのが、トヨタが新型プリウスから採用する「TNGA(Toyota New Global Architecture)」だ。TNGAでプラットフォームを刷新し、車種の違いを越えた主要部品の大胆な共用化を進める。

ハイブリッド車で先行することによって築いた「環境のトヨタ」というブランドイメージは最近になって揺らいでいる。VW社は、傘下のドイツAudi社などを含むグループを挙げて、PHEVやEVの投入を加速。ドイツ勢では、BMW社やDaimler社も同様の戦略を積極的に推進する。米国勢では、General Motors社がPHEVの新型「Chevrolet Volt」を2015年後半に発売する予定で、EVの投入も計画する。 トヨタは環境車の切り札として、2014年12月に燃料電池車(FCV)で世界初の量産車となる「MIRAI」を発売した。 だが生産能力は限られる上、「(燃料となる水素を補給する)水素ステーションなどのインフラを整備する必要があり、普及には長い時間がかかる」(トヨタ幹部)。こうした中で、PHEVを幅広い車種で展開することは、トヨタが環境ブランドを向上させるのに役立ちそうだ。 新型プリウス PHVの外観は、ハイブリッド車である新型プリウスとは異なる専用デザインになる可能性も浮上している。EV航続距離を含む、さまざまな課題を解決したプリウスPHVを突破口に、トヨタはPHEVの展開を本格化させようとしている。
nikkeibp.co.jp

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by ganbaremmc | 2015-08-05 20:51 | トヨタ | Comments(0)