燃費より走行性能を向上させたスバルHV

富士重工業は7月10日、
四輪駆動のハイブリッド車(HV)「インプレッサ スポーツ ハイブリッド」を発売した。
軽自動車並みの最大トルク65N・mのモーターと最高出力150馬力の2L水平対向エンジンを組み合わせたシステムで、走行性能を高めるとともに燃費性能も20.4km/Lと「インプレッサ スポーツ」の最上位グレードに比べて4km/L程度高めた。タイヤも幅広で大径化した。2013年発売の多目的スポーツ車(SUV)「スバルXVハイブリッド」に初搭載したシステムから、高速時の回生エネルギーの活用と回生頻度を向上させたほか、駆動モーターを一体化した無段変速機(CVT)を改良した。足回りの初期応答性を高めるとともに、遮音材・吸音材の強化などにより乗り心地と静粛性も向上。自動ブレーキや全車速追従機能付きのクルーズコントロール(ACC)、誤発進抑制機能などを盛り込んだ安全装備パッケージ「アイサイト」を標準装備した。荷室容量は344L。価格は250万5600~263万5200円 販売目標は月間500台。

0000000000

HVシステムはトヨタ自動車を代表に燃費と静粛性・質感の向上にあてられ、同じ車名ならガソリン車の方がパワフルな走りであることが少なくない。最近のモデルでもミニバン「ヴォクシー」しかり、小型車「カローラ」しかりだ。スバルがこの「インプレッサ スポーツ」でタイムラグが生じがちなターボではなく、あえてHVを走行性能向上に使ったのは1つの方向性ではある。

 「インプレッサ」は多くのスバル車同様に、水平対向エンジン、シンメトリカルAWDとレイアウトにより、低い重心高と優れた重量バランスが特徴だ。今回のHVは、モーターを車両重心近くに配置してバッテリー類は荷室床下に収納することでガソリン車と同等の重心高・重量配分と室内の広さを確保したという。車両重量は1490~1500kgとガソリン車の最上位グレードより120~130kg重くなったが、燃費より走行性能向上に意を注いだHVシステムのアシストにより走りはガソリン車より向上するはずではある。エンジンだけで最高出力は150馬力というだけに、このサイズのクルマなら十分の動力性能だ。

 HVシステムの走りへの効果を検証したかったが、試乗会の際には残念ながらガソリン車はなく比較はできなかった。代わりに乗ったのが走りのスバルの代表選手ともいうべき「WRX」。6月に足回りを改良した「WRX S4」は「インプレッサ スポーツ ハイブリッド」よりやや(全長で175mm、全幅で40mm)大きいだけだが、最高出力は300馬力。その加速感としっかりとした足回りのレベルは高い。ハイパフォーマンスカーと標準レベルのクルマを乗り比べることもままある。これまでは標準車なりの美点を感じることが少なくなかったが、今回は美点より上下関係が強く印象に残った。それでも最新型ではないが定評ある安全装備パッケージ「アイサイト」を、ACC作動時に電気自動車(EV)走行を最大限に活用できる制御にして、標準搭載した四輪駆動HVで250万円程度の価格は魅力的である。

「スバルではすでにXVでスポーティーなHVを出しており、インプレッサ スポーツ ハイブリッドも考え方としては同じだ。燃費を稼ぐというよりはモーターでさらにエンジン走行をアシストする。標準車よりも幅広のタイヤを装着して安定感を増すとともに電池の分だけ重心高を下げた。よりスポーティーになったが、燃費性能向上は標準車に比べてわずかにとどまる。昔のターボ車のように走行性能を追求する人の選択肢となるのでは」(同業他社委員)

「すでに発売されているスバルXVハイブリッドと基本構造・パッケージングは共通しているが、特有のスポーツキャラが与えられている。ライバルとしてはアクセラハイブリッドとシャトルハイブリッドがあがってくるが、スバルの販売サイドはカローラフィールダーハイブリッドを強く意識している。インプレッサ スポーツシリーズの中心にはならないが、販売を下支えする効果はあるとみていい」(流通委員)

「走りに優れたHVを訴求するが商品力は十分とはいえない。スバルらしい手堅いクルマづくりでXVに対してHVシステムの制御などでかなりの進化をみているが、これも明確に数値性能として表せるものではなくユーザーには伝わりにくい。アクセラHVに比べれば走りのスポーティーさで上回るほか、四輪駆動という特徴を持つ点で優位に立つが、燃費も含めた総合的な商品力としては互角かどうかという程度にとどまる」
日本経済新聞


[PR]

by ganbaremmc | 2015-09-18 17:33 | スバル | Comments(1)

Commented by cvcc at 2015-09-19 09:45 x
スバルHVは国沢先生も仰っていたように、ほぼホンダのIMAシステムと同様です。やっと旧型のホンダHVに追いついた程度なので、HVをそんなに売りにすることも厳しいでしょうね。
次は独自開発のHVじゃなくて、マツダ同様にトヨタ方式でいくのではないでしょうかね。