スバル 「EV時代でも個性出せる」吉永社長

富士重工業は4月1日に社名を「SUBARU(スバル)」に変更する。同社は2010年代に入って急速に販売を伸ばし、16年に初めて世界販売台数を100万台の大台に乗せた。ただ市場は北米に偏り、生産能力は限界に近づいている。持続的な成長に向けた青写真をどう描くのか。吉永泰之社長に聞いた。

5e81d5a1-



―― 世界販売台数は10年で8割伸びました。何が勝因でしたか。

 「 伸び始めたのは09年に『レガシィ』を米国向けに大型化したときだ。マーケティングとしては初級だが、これが転機になった。次の一手を考えたとき、期せずして日米で同時に『スバルが顧客に提供できる価値は何か』という議論になった 」

 「 耐久性や安全性、悪路に強い走破性といったスバル車の特徴を、米国は『LOVE(ラブ)』、日本は『安心と愉(たの)しさ』と表現した。性能が第三者機関で認められたことが裏付けとなって日米で急速に売れ始めた。売るものを車というハードから価値というソフトに転換したのが大きかった 」

 
―― 10年にヒットした運転支援システム「 アイサイト 」も知名度向上に寄与しました。

 「 当時私は国内営業本部長だったがアイサイト否定論者だった。スバルの顧客は運転に自信がある人なので。だが試乗してみて『すごい』と認識が一変した。米国向けにレガシィを大型化したことで国内販売は苦しく、これで勝負しようと考えた。従来の半額の10万円とした値付けも大きかった。それまで『安全は商売にならない』と言われていたが、時代が安全を求めていたんだと思う  」

 
―― 需要が供給を上回り、値引きせずに売れる好循環が続いています。

 「 1台足りない状態を狙って需給をコントロールしている。人気車種でも販売店に在庫があったら値引きになる。足りなければ消費者も欲しくなり、中古車価格も上がる。だから生産もいっぺんに設備投資せず、少しずつ能力を増やしてきた 」


――  販売増と共に「米国一本足」が強まっています。次の柱となる市場をどう開拓しますか。

 「 15年度までの中期経営計画を発表した11年時点では中国とロシアを増やす考えだったが、その後市場環境が悪化した。中国は乱売合戦になっており、日米で車が足りないのに中国で値引きしてまで売るつもりはない。市場が回復すれば有望なのは中国とロシアだ 」
   「  ほかに東南アジアやオーストラリア、北欧で販売を伸ばしている。マレーシアに続いてタイでも委託生産を始める計画で、生産会社への出資も決めた。東南アは育てていきたい市場だ。ただ数量として開拓余地が大きいのは米国のサンベルト(南西部)と見ており、他の地域はコツコツやっていく 」

 
―― 16年に米インディアナ州の工場を増強しましたが需要の強さが上回っています。工場を新設する考えはありますか。

 「 固定費が増えることはこれまで通り慎重に判断する。トランプ政権の政策も見極める必要がある。新工場を建てるなら現工場を広げることになると思うが、サプライヤーを含めて新たに従業員を確保できるか不透明で、慎重に検討する 」

 
―― トランプ大統領は「国境調整」など通商政策の見直しに言及しています。国内で全量生産するエンジンなどを米国に移す考えはありますか。

 「 世界販売120万台程度までは日本で作る。その先はまだ決めていない。その頃はエンジンではなく、電動車両用のモーターが必要になるかもしれない。軽々に答えは出さない方がいい 」

 
―― 米国工場でトヨタ自動車からの受託生産が終了しました。トヨタとの提携の将来をどう考えていますか。

 「 スポーツ車の共同開発や電動車両の技術協力など、トヨタとの関係は非常にいい形で続いていると思っている。トヨタは競争相手がIT(情報技術)企業などに広がる中で仲間作りを進めている。我々はその中で個性をどう発揮していくかが大切だ 」

 
―― 21年に電気自動車(EV)を発売します。看板技術の水平対向エンジンがない車で競争力をどう保ちますか。

 「 水平対向エンジン自体が価値なのではなく、低重心で左右対称という特徴から得られる安定した走りが価値だ。低重心で左右対称のEVを作ればいいと考えている。例えば(水平対向エンジンを採用している)独ポルシェの多目的スポーツ車の(SUV)『カイエン』は水平対向ではないが人気だ。顧客が求める価値とは関係ない 」

 
―― 社名をスバルとすることで、富士重はどう変わりますか。

 「 ものづくりの会社から価値を届ける会社になる。今後の自動車産業は電動化への対応などで試験研究費が増え利益率が下がる局面に入る。ものづくりの重要性は変わらないが、小規模メーカーの当社は付加価値が勝負になる。ここ数年で築いてきたブランド価値をさらに高めるきっかけにしたい 」

 
―― 6月で社長就任から丸6年。今後の経営体制をどう変えていきますか。

 「 現在の役員はほぼ同世代で、潰れそうな会社を建て直そうと結束してきた仲間だ。部長時代には東京の本社で仕事を終えてから夜に群馬の工場に出向き、事務系と技術系で勝手に商品戦略などを議論をしていた 」

 「 危機に鍛えられた優秀な人材ばかりで、いわば鉄壁の構えで会社を成長させてきた。だが業績がいい中で次世代に同じことを求めても難しい。4月の人事異動では後進に権限を移し、役職ごとの責任も重くした。苦労して成長してほしい 」
日本経済新聞


[PR]

by ganbaremmc | 2017-03-10 07:43 | スバル | Comments(1)

Commented by S1000 at 2017-03-10 10:33 x
所詮はスバル。
倒産してほしい。